血便とは
便に血が付着している、黒い便が出た、拭いた紙に血が付いていた、便器が出血で赤くなった、粘液と血液が混じった便が出たなど、血便にもさまざまなものがあります。血便があるというのは消化管のどこかから出血しているということです。血便の状態がくわしくわかると、出血を起こしている場所がある程度わかります。血便があると慌てて流してしまうこともあるかと思いますが、しっかり観察していただくと問診の際に診察がスムーズに進みます。余裕がありましたら、スマートフォンで撮影して診察時に見せていただけるととても参考になります。
こんな血便があったら受診してください
- 便に血が付着している
- 拭いた紙に血が付いていた
- 便器が出血で赤くなった
- 真っ黒い便が出た
- いちごジャムのようなものが便に混じっている
- 下痢に血液が混じっている
など
血便の種類
血便は見た目の違いによって大きく4種類に分けられます。血便の状態を観察することで、出血が起きている場所や出血量などがある程度把握できます。
鮮血便
真っ赤な血液が付着している、あるいは便器が赤く染まる状態です。肛門周辺からの出血で起こり、痔による出血が多くなっています。一般的にいぼ痔と言われている内痔核は自覚症状がないまま、便器が真っ赤に染まるような出血を起こすことがあります。ただし、鮮血便は直腸がんの症状で現れることも多いため、症状が続く場合は早期の受診をお勧めしています。
粘血便
粘液状で赤く、いちごジャムのような見た目のものが便に混じっています。赤痢やアメーバなどの感染症による炎症や、潰瘍性大腸炎・クローン病といった炎症性腸疾患が疑われます。早期の治療が重要ですから、大腸カメラ検査などを受けてください。
暗赤色便
レンガのような暗い赤の便が出ます。大腸や小腸の大腸に近い部分から出血している可能性が高く、大腸憩室炎や感染などが疑われます。また、血流障害によって起こっている場合には早急な治療が必要です。
黒色便(タール便)
真っ黒な色をしていますが、これも血便です。出血を起こしているのは胃や十二指腸で、大量に出血を起こすと出血性ショックを起こすためとても危険です。また慢性的な黒色便があると貧血を起こすこともあります。潰瘍によるものも多いのですが、胃がんなどの可能性もあるため、早期の受診が必要です。なお、貧血治療で服用している薬剤で黒色便が出ることもありますので、受診の際にはお薬手帳か飲んでいるお薬がすべてわかるものをご持参ください。
血便があったらできるだけ早く受診しましょう
わずかな血便でも消化管のどこかから出血を起こしているということですから、できるだけ早めに受診してください。良性疾患である痔の場合でも、血便で早期に気付けば、その多くは内科的治療で対処が可能です。
受診の際には、血便の状態がよくわかるとスムーズに診療が進みます。よく観察して説明いただくか、スマートフォンで撮影したものをお見せいただけると参考になります
血便が起こる頻度、起こったきっかけや時期、腹痛など他の症状の有無、病歴や飲んでいるお薬などについてうかがって、必要な検査を行います。大腸カメラ検査は、直接粘膜の詳細な観察ができるため、血便の症状を起こす多くの疾患の確定診断に役立ちますし、有効な治療につなげることができます。当院では熟練した専門医が最新鋭の内視鏡システムを使って、患者様への負担を最小限に抑えた検査をしていますので、安心してご相談ください。
出血の原因を特定したら、原因に合わせた治療を行います。