大腸ポリープ
大腸ポリープは、大腸粘膜にできる、いぼのように大腸の内腔に突出した病変のことを言います。大腸全域にできますが、発生頻度が高いのは肛門に近い直腸とS状結腸です。
隆起しているものから平坦なものまで形は様々で、その種類も最も多いとされる腫瘍性ポリープの他、炎症性ポリープや過形成性ポリープなど色々なものがあります。
そのうち腺腫性のポリープは将来がん化する可能性があるため、ポリープの段階で切除することで大腸がん発生を高い確率で予防できることが分かっています。
痛みなどの自覚症状がなく、ポリープがかなり巨大化して便の通過に影響するまで症状を起こすことがないため、大腸粘膜を直接観察できる大腸カメラ検査は早期発見が可能な唯一の検査です。なお、ポリープが大きくなって便の通過を妨げたり、便がポリープに接触することによって、便秘や下痢、血便、腹痛、膨満感などを起こすことがあります。
大腸内視鏡検査と大腸ポリープ
大腸カメラ検査は、微細な大腸ポリープを発見出来る唯一の検査です。また、発見したポリープを検査中に内視鏡で切除する日帰り手術が可能です。そのため、検査・治療・予防までが1度でできます。
当院では最新鋭の内視鏡システムを導入しています。高精細な画像は拡大観察が可能ですし、光の波長を変えて表面組織や血管を強調表示することで、微細な病変の検出ならびにポリープの良悪性などの質的診断を短時間に行うことができます。これにより、瞬時にポリープ切除の判断を下すことが可能です。また画像処理を行うことで炎症性腸疾患などの粘膜の炎症の詳細な観察もできます。さらに、内視鏡スコープは繊細な医師の手技を先端まで正確に伝えるため、患者様に痛みなどの負担をかけることなくスムーズな検査が可能です。使用する器具は徹底的な洗浄と殺菌を行って、感染予防にも努めていますので、安心していらしてください。
日帰り大腸ポリープ切除
当院では、大腸カメラ検査中に発見されたポリープを、その場で切除する日帰り手術を行っています。別の日に改めて切除のためのスケジュールを用意する必要がなく、事前の食事制限なども1度ですみます。これによって検査・治療・予防がすんでしまうため、お忙しい方にもおすすめしています。
ポリープのサイズや数などによって、検査日の切除ができないケースもまれにありますが、その場合には連携治療を行っている高度医療機関をご紹介して、できるだけ早く切除できるようサポートしています。
ポリペクトミー
従来最もよく行われてきた大腸ポリープの切除法です。内視鏡の先からスネアというワイヤーを出してポリープにかけ、締め付けてから高周波電流を流して焼き切ります。電気メスのように切除による出血を防ぐことはできますが、熱が下まで伝わってしまうと術後の出血や穿孔のリスクがあります。
コールドポリペクトミー
ポリペクトミーと違い、高周波電流を流さずにスネアを締め付ける力で切除します。熱を生じないため、術後の出血や穿孔のリスクをかなり軽減できます。特に穿孔については、粘膜面に留まる切除のため、そのリスクはほぼゼロに近いと考えられます。切除時の出血は、止血処置で対応できるため安全性が高く、当院ではこのコールドポリペクトミーを最も多く用いています。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
ポリープには平坦な形状のものもあります。そうした平坦なポリープはそのままではスネアがかかりません。そこで、ポリープの下に生理食塩水などを注入して持ち上げてからスネアをかけて切除を行う治療法が内視鏡的粘膜切除術です。
またサイズの大きな(一般的には10㎜以上)ものや粘膜内がんの可能性が考えられるポリープについても、正常粘膜を含めて十分な安全地域を確保するために、この方法を用いて切除を行う場合があります。持ち上がったポリープはスネアをかけて高周波電流で焼き切りますが、下に液体があって熱が伝わることがないため、術後の出血や穿孔リスクも低減できます。なお、切除時に出血が認められた場合には、クリップという処置具を用いて止血処置を行います。
切除手術を受けた場合の注意事項
日帰り手術で切除した場合も、そのままご帰宅いただけます。また、当日夕方になれば食事も可能です。デスクワークや軽い家事程度でしたら、翌日に復帰することもできますが、入浴・食事内容・運動・長距離移動などに関しては数日から1週間程度の制限を守って頂くことが必要になります。検査前には、切除手術を行うかどうかわかりませんが、治療を受けることを前提の上でのスケジュール調整をお願いいたします。制限を守れないと術後の出血といった合併症のリスクが上昇してしまいます。ただし、検査日が迫ってから急に出張などの予定が入ってしまった場合、当日は検査だけを行ってポリープがあった場合のみ、別日に切除するといった対応も可能ですので、ご相談ください。